「実家から離れて暮らしているのでお墓参りが難しい」「後継ぎがいなくて将来のお墓の管理が心配」――こうした理由から、お墓の引っ越し(改葬)を検討する方が増えています。
改葬とは、今あるお墓から遺骨を取り出し、別の場所のお墓に移すことです。いわば「お墓の引っ越し」で、法律に基づいた手続きが必要になります。
この記事では、改葬の具体的な手順、必要な書類、費用の目安、そして注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

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改葬が必要になる主な理由
改葬を行う代表的な理由を紹介します。
- お墓が遠い:転居や引っ越しによって、お墓参りに行くのが困難になった
- 管理が難しい:高齢になってお墓の掃除や手入れがつらくなった
- 後継ぎがいない:将来お墓を守る人がいないため、永代供養のある場所に移したい
- 墓じまいをしたい:お墓を整理して、維持費の負担を減らしたい
- 家族の要望:複数の場所にあるお墓を一か所にまとめたい
近年は「お墓の遠さ」と「後継ぎ不在」が改葬の二大理由となっています。
改葬の手順(7ステップ)
ステップ1:改葬先のお墓を決める
まず、遺骨を移す先のお墓を決めます。一般墓、樹木葬、納骨堂、永代供養墓など、改葬先はさまざまな選択肢があります。改葬先が決まったら、「受入証明書」を発行してもらいましょう。
ステップ2:今のお墓の管理者に相談する
現在のお墓がある霊園や寺院の管理者に、改葬の意思を伝えます。寺院墓地の場合は、住職に丁寧に説明し、理解を求めることが大切です。管理者から「埋蔵証明書(埋葬証明書)」を発行してもらいます。
ステップ3:改葬許可を申請する
現在のお墓がある市区町村の役所で「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」の交付を受けます。申請に必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的には以下のものが求められます。
- 改葬許可申請書(役所の窓口またはHPで入手)
- 埋蔵証明書(現在のお墓の管理者が発行)
- 受入証明書(改葬先の管理者が発行)
- 申請者の身分証明書
ステップ4:閉眼供養(魂抜き)を行う
遺骨を取り出す前に、僧侶に閉眼供養(魂抜き・お性根抜き)を行ってもらいます。これはお墓に宿る魂を抜く儀式で、お布施の相場は3万〜5万円程度です。
ステップ5:遺骨を取り出す
改葬許可証を取得したら、石材店に依頼してお墓を開き、遺骨を取り出します。遺骨の状態によっては洗浄や乾燥が必要になることもあります。
ステップ6:元のお墓を撤去(墓じまい)する
遺骨を取り出した後、元のお墓の墓石を撤去し、区画を更地に戻します。これがいわゆる「墓じまい」です。撤去工事は石材店に依頼し、費用は10万〜30万円程度です。
ステップ7:改葬先に遺骨を納める
改葬先のお墓に遺骨を納め、開眼供養(魂入れ)を行います。これで改葬手続きは完了です。

改葬にかかる費用の目安
改葬にかかる費用の内訳と相場は以下のとおりです。
- 埋蔵証明書の発行:無料〜1,500円
- 改葬許可申請の手数料:無料〜300円
- 閉眼供養のお布施:3万〜5万円
- 墓石の撤去・区画の原状回復:10万〜30万円
- 離檀料(寺院墓地の場合):5万〜20万円
- 遺骨の搬送費:1万〜3万円
- 改葬先の費用(永代使用料・墓石代等):30万〜200万円以上
- 開眼供養のお布施:3万〜10万円
改葬の総費用は、改葬先の種類によって大きく異なりますが、おおよそ50万〜300万円程度が目安です。
改葬先を樹木葬の合祀型や永代供養墓にすれば、改葬先の費用を大幅に抑えることができます。総費用50万円以下で改葬が完了するケースもあります。
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改葬で注意すべきポイント
寺院墓地の離檀料トラブル
寺院墓地から改葬する場合、「離檀料」を請求されることがあります。相場は5万〜20万円程度ですが、中には数百万円を請求されるケースも報告されています。
離檀料に法的な支払い義務はありません。ただし、長年お世話になったお寺との関係を円満に終えるために、一定の金額をお布施として渡すのが一般的なマナーです。トラブルになった場合は、弁護士や行政書士に相談しましょう。
親族間の合意を得る
お墓の改葬は、親族全員の同意を得たうえで進めることが望ましいです。事前の相談なく改葬を進めると、「先祖のお墓を勝手に移した」と揉めるケースがあります。
複数の遺骨がある場合の手続き
一つのお墓に複数の遺骨が納められている場合、改葬許可証は遺骨1柱ごとに必要です。古い遺骨の場合、誰のものかわからないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
改葬許可証なしに遺骨を取り出して別の場所に埋葬すると、「墓地、埋葬等に関する法律」に違反し、罰則の対象になります。必ず正規の手続きを踏んでください。
改葬にかかる期間
改葬は、検討開始から完了までおおむね3〜6か月程度かかるのが一般的です。
- 情報収集・改葬先の検討:1〜2か月
- 手続き(書類の取得・申請):2週間〜1か月
- 工事・供養:1〜2か月
改葬の手続きや流れについて詳しくは、ライフドットやお墓さがしでも解説されています。
また、各自治体の改葬許可申請書の様式は、各市区町村のホームページからダウンロードできる場合が多いので、総務省のポータルサイトから該当する自治体のページを確認してみてください。

よくある質問
Q. 改葬は自分一人でもできますか?
A. 書類の手続きは個人でも進められますが、墓石の撤去や遺骨の取り出しは石材店に依頼する必要があります。全体の流れを把握したうえで、専門家の力を借りながら進めるのがおすすめです。
Q. 改葬にかかる費用は誰が負担しますか?
A. 原則として、改葬を希望する方(お墓の承継者)が費用を負担します。親族間で費用を分担するケースもあります。
Q. 遺骨の一部だけを移すことはできますか?
A. はい、可能です。遺骨の一部を分骨して新しいお墓に移し、残りは元のお墓に残すという方法もあります。分骨の場合も、改葬許可証または分骨証明書が必要です。
Q. 改葬先がまだ決まっていない場合はどうすればいいですか?
A. 改葬許可証の申請には受入証明書が必要なため、先に改葬先を決める必要があります。一時的に遺骨を自宅に保管することは法律上問題ありませんが、長期的な保管先は早めに検討しましょう。
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