「親の介護が必要になったけど、施設の種類が多すぎてどこを選べばいいかわからない」「特養と老健って何が違うの?」「費用はどれくらいかかるの?」——介護施設選びは、多くの方にとって初めての経験であり、混乱するのは当然のことです。
日本の介護施設は種類が非常に多く、それぞれ入居条件や費用、サービス内容が大きく異なります。施設の種類を正しく理解していないと、「入りたいのに条件を満たしていなかった」「想定より費用が高かった」という事態になりかねません。
この記事では、代表的な介護施設の種類とその特徴・費用・入居条件を比較しながら、最適な施設の選び方をわかりやすく解説していきます。

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介護施設の大きな分類を理解しよう
介護施設は大きく「公的施設」と「民間施設」に分かれます。
公的施設は国や地方自治体、社会福祉法人などが運営しており、費用が比較的安い代わりに入居待ちが長いことが多いです。特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院などが該当します。
民間施設は民間企業が運営しており、サービスの質や設備が充実している反面、費用は高めです。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが該当します。
どちらが良い・悪いということではなく、本人の介護度・経済状況・希望するサービス内容によって最適な選択肢が変わるのがポイントです。
主な介護施設6種類の特徴と費用
代表的な介護施設を6種類ピックアップし、それぞれの特徴・費用・入居条件を解説します。
1. 特別養護老人ホーム(特養)
公的施設の代表格で、費用の安さが最大の魅力です。月額費用は6万〜15万円程度(介護保険の自己負担分+食費+居住費)で、入居一時金は不要です。
入居条件:原則として要介護3以上(特例で要介護1〜2でも入居できる場合があります)
特徴:終身利用が可能で、看取り対応をしている施設も増えています。ただし、人気が高く待機者が多いため、申し込みから入居まで数か月〜数年かかることも珍しくありません。都市部では待機者が数百人というケースもあります。
向いている人:介護度が高く、長期的な入居を考えている方。費用を抑えたい方。
2. 介護老人保健施設(老健)
病院と自宅の中間的な位置づけの施設で、在宅復帰を目指すリハビリに力を入れているのが特徴です。月額費用は8万〜15万円程度で、入居一時金は不要です。
入居条件:要介護1以上
特徴:医師や看護師が常駐しており、リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士など)も配置されています。ただし、入居期間は原則3〜6か月程度と定められており、長期入居はできません。「退院したけどすぐに自宅に戻るのは不安」という方の中継地点として利用されることが多いです。
向いている人:リハビリで身体機能を回復させ、自宅復帰を目指したい方。
3. 介護付き有料老人ホーム
民間施設の中で最も手厚い介護サービスを受けられる施設です。月額費用は15万〜35万円程度で、入居一時金は0円〜数千万円と施設によって大きな差があります。
入居条件:施設によって異なりますが、自立〜要介護5まで対応しているところが多いです。
特徴:24時間の介護スタッフ配置、充実した食事、レクリエーション活動など、サービスの質と生活の快適さを重視した施設です。看取り対応をしている施設も多く、終身利用が可能です。費用は高めですが、入居待ちが短いのがメリットです。
向いている人:手厚い介護サービスを受けたい方。経済的に余裕がある方。
4. 住宅型有料老人ホーム
生活支援サービス(食事提供・見守り・安否確認など)は提供されますが、介護サービスは外部の介護事業者と別途契約する形になります。月額費用は10万〜30万円程度で、入居一時金は0円〜数百万円程度です。
入居条件:施設によって異なりますが、自立〜要介護度の低い方を対象としているケースが多いです。
特徴:介護度が低いうちは費用を抑えられますが、介護度が上がると外部の介護サービス費用が追加されるため、トータルの費用が介護付き有料老人ホームと変わらなくなることもあります。
向いている人:現時点では比較的元気だが、一人暮らしに不安がある方。
5. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリー対応の賃貸住宅に安否確認と生活相談のサービスが付いた施設です。月額費用は10万〜25万円程度で、敷金(家賃の2〜3か月分程度)がかかるのが一般的です。
入居条件:60歳以上、または要支援・要介護認定を受けている方
特徴:あくまで「住宅」なので、自由度の高い生活が送れるのが魅力です。外出や外泊も自由で、普通の賃貸住宅に近い感覚で暮らせます。ただし、手厚い介護が必要になった場合は退去を求められるケースもあるため、将来の介護度上昇に対する対応を事前に確認しておくことが重要です。
向いている人:自立した生活を送りたいが、もしもの時の見守りがほしい方。
6. グループホーム
認知症の方を対象とした少人数制(5〜9人程度)の施設です。月額費用は12万〜20万円程度で、入居一時金は0円〜数十万円程度です。
入居条件:要支援2以上で認知症の診断を受けている方。施設がある市区町村に住民票がある方。
特徴:家庭的な雰囲気の中で、少人数のスタッフと一緒に料理や掃除をしながら生活するのが特徴です。認知症ケアの専門知識を持つスタッフが配置されており、認知症の進行を穏やかにする効果が期待されています。
向いている人:認知症があり、家庭的な環境で暮らしたい方。成年後見制度の仕組みは以下の記事で詳しく解説しています。



介護施設の費用を抑える方法
介護施設の費用は決して安くありませんが、いくつかの制度を活用することで負担を軽減できます。
高額介護サービス費制度
介護保険の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。所得に応じて上限額が設定されており、低所得者ほど上限が低く設定されています。
特定入所者介護サービス費(補足給付)
所得や資産が一定基準以下の方を対象に、特養や老健の食費・居住費が軽減される制度です。この制度を利用すると、特養の月額費用が5万〜8万円程度まで下がることもあります。終活の費用全体については以下の記事で項目別にまとめています。



医療費控除
介護施設の費用の一部は医療費控除の対象になります。確定申告の際に忘れずに申告しましょう。特養の場合は施設サービス費の2分の1が、老健の場合は全額が医療費控除の対象です。
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施設選びで失敗しないためのチェックポイント
最後に、施設選びで後悔しないためのチェックポイントをまとめます。
必ず見学に行く:パンフレットやホームページだけで判断せず、実際に施設を訪問しましょう。清潔感、スタッフの対応、入居者の表情など、現地でしかわからないことがたくさんあります。
複数の施設を比較する:最低3か所は見学して比較することをおすすめします。比較することで、各施設の良い点・悪い点が見えてきます。
退去条件を確認する:「どのような状態になったら退去しなければならないか」は必ず確認してください。介護度が上がった時、医療行為が必要になった時の対応は施設によって大きく異なります。
費用の内訳を細かく確認する:月額費用に含まれるサービスと、別途費用がかかるサービスを明確にしておきましょう。「おむつ代は別」「理美容代は別」など、想定外の追加費用が発生するケースは多いです。
介護サービス情報公表システム(厚生労働省)では、全国の介護施設の情報を検索・比較できます。施設の運営状況やサービス内容が公開されていますので、施設選びの参考にしてください。また、福祉医療機構(WAM NET)でも介護に関する総合的な情報を入手できます。
まとめ:早めの情報収集が最良の備え
介護施設選びは、本人にとっても家族にとっても人生の大きな決断です。介護が必要になってから慌てて探すのではなく、元気なうちから情報を集めて、本人の希望を聞いておくことが何より大切です。
この記事で紹介した6種類の施設の特徴と費用を参考に、まずは「自分や家族にはどのタイプが合いそうか」のイメージを持つところから始めてみてください。地域包括支援センターでは無料で介護の相談ができますので、わからないことがあれば気軽に相談してみましょう。


※この記事の費用は2026年4月時点の目安です。実際の費用は施設や地域、介護度によって異なりますので、各施設に直接お問い合わせください。
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