「一人っ子同士の結婚で、両方のお墓を守っていけるか不安……」「お墓の管理が大変だから、一つにまとめたい」――少子化が進む中、こうした悩みを持つ方が増えています。
そんな方に注目されているのが「両家墓」です。両家墓とは、姓の異なる2つの家族を一つのお墓にまとめて祀る形式のお墓のことです。お墓の管理負担を減らしつつ、両方のご先祖様を大切にできる選択肢として、近年人気が高まっています。
この記事では、両家墓のメリット・デメリットから費用の相場、建てる際の注意点まで詳しく解説します。

両家墓の基本的な仕組み
両家墓は、通常であれば別々に建てる2つの家のお墓を、1つのお墓としてまとめたものです。一般的には、結婚した夫婦がそれぞれの実家のお墓を統合するケースが多く見られます。
両家墓のデザインパターン
両家墓のデザインにはいくつかのパターンがあります。
- 両家の姓を並べて刻む:墓石の正面に「○○家」「△△家」と並べて彫刻する
- 家名を入れず「絆」「和」などの文字を刻む:宗教を問わないデザインで、見た目もすっきり
- 洋型墓石で一体化:モダンなデザインの洋型墓石に両家の情報を刻む
- 納骨室を左右に分ける:墓石は一つでも、内部の納骨室を2つに分けるタイプ
デザインに決まりはないため、両家の意向を反映したオリジナルの墓石を作ることも可能です。
両家墓のメリット
お墓の維持管理がラクになる
両家墓にする最大のメリットは、1人で2つの家のお墓を管理する必要がなくなることです。お墓参りも1か所で済み、管理費も1基分で抑えられます。
費用を節約できる
お墓を2基建てると、墓石代・永代使用料・管理費がそれぞれ2倍かかります。両家墓にすれば、これらの費用がおよそ半分になる計算です。
お墓参りが1か所で完結する
お盆やお彼岸のお墓参りが1回で済むため、遠方に住んでいる場合の移動負担も軽減されます。高齢になった際にも、1か所であれば参拝しやすいでしょう。掃除道具や線香などをひとまとめにしたお墓参りセットを用意しておくと、毎回の準備も楽になります。
お墓の承継問題を解決できる
一人っ子同士の結婚や、跡継ぎがいない場合でも、両家墓にすることでお墓の承継問題を解決できます。次の世代にも管理しやすい形で引き継げるのは大きな利点です。
一人っ子同士の結婚や、遠方のお墓の管理に困っている方にとって、両家墓は現実的で合理的な選択肢です。
両家墓のデメリット
親族間の合意が必要
両家墓を建てる際は、両方の家の親族の同意が不可欠です。「一緒のお墓に入るのは抵抗がある」という考えの方もいるため、事前にしっかり話し合う必要があります。
宗旨・宗派の違いが問題になることがある
両家の宗派が異なる場合、寺院墓地では受け入れてもらえないことがあります。その場合は、宗派を問わない公営霊園や民営霊園を選ぶとよいでしょう。
墓じまいの手続きが発生する
既存の2つのお墓を1つにまとめるには、元のお墓を「墓じまい」する必要があります。改葬許可の取得やお骨の移動など、手間と費用がかかる点はデメリットといえます。
将来的なトラブルの可能性
管理費の負担割合や修繕の判断など、両家で意見が分かれる場面が出てくることがあります。取り決めを書面に残しておくと安心です。

両家墓にかかる費用の目安
両家墓の費用は、新しく建てる場合と既存のお墓をまとめる場合で大きく変わります。
新しく両家墓を建てる場合
- 永代使用料:30万〜100万円程度(地域や霊園による)
- 墓石代(工事費込み):100万〜250万円程度
- 年間管理費:5,000円〜2万円程度
2基分のお墓を別々に建てると合計で500万円を超えることもありますが、両家墓にすればおおむね半額程度に抑えられるのが一般的です。
既存のお墓を両家墓にまとめる場合
元のお墓の墓じまい費用が追加で必要です。
- 墓じまい費用:1基あたり30万〜50万円程度(撤去工事・行政手続き含む)
- お骨の移動(改葬)費用:数万円程度
- 閉眼供養のお布施:3万〜10万円程度
閉眼供養や新しいお墓での開眼供養に立ち会うときは、数珠を1つ用意しておくと慌てずに済みます。両家で宗派が異なる場合もあるので、形式が気になる方は事前に確認しておきましょう。
費用は地域や石材店、霊園によって大きく異なります。複数の業者から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
両家墓を新しく建てる場合、石材店ごとの見積もりを並べて見ると、金額や提案の違いが分かりやすくなります。墓石ナビは、墓石を建てたい方が入力すると、運営事務局が選んだ石材店3〜5社から見積もりが届く一括見積もりサイトです。見積もりは無料で契約の義務もないと公式に案内されています。ただし、墓所が民営霊園の場合は利用を遠慮してもらう案内があるので、霊園が決まっている方は公式サイトで条件を確認してみてください。

両家墓を建てるときの注意点
霊園・墓地の規約を確認する
霊園や墓地によっては、1区画に1つの家名しか刻めないなどの規約がある場合があります。事前に管理事務所へ両家墓が可能かどうか確認しておきましょう。
宗派の確認
寺院墓地は特定の宗派の檀家でないと利用できないケースが多いです。両家の宗派が異なる場合は、宗教不問の公営霊園や民営霊園を選ぶのが無難です。
改葬許可の手続き
既存のお墓からお骨を移す場合は、改葬許可証が必要です。現在のお墓がある市区町村の役所で手続きを行います。
遠方のお墓などで、解体や役所の手続きまで自分で進めるのが難しい場合は、ミキワの墓じまいのように、墓石の解体・処分から行政手続きの代行までをセットにしたサービスもあります。全国対応で、相談は無料と案内されています。セットプランは181,500円(税込)〜が目安ですが、金額はお墓の面積や条件で変わります。詳しい内容は公式サイトで確認できます。



両家で費用負担を決めておく
墓石代や管理費の負担割合を、あらかじめ両家で話し合って決めておきましょう。口約束ではなく、書面に残しておくとトラブルを防げます。取り決めの書面や改葬許可証、霊園との契約書は、1つのファイルにまとめて保管しておくと後から確認しやすくなります。


両家墓以外の選択肢
両家墓以外にも、お墓の承継問題を解決する方法はあります。
永代供養墓
霊園や寺院が永続的に管理・供養してくれるお墓です。跡継ぎがいなくても安心で、費用も比較的抑えられます。
納骨堂
屋内にお骨を安置する施設です。天候を問わずお参りでき、管理も楽です。都市部を中心に増えています。
樹木葬
墓石の代わりに樹木をシンボルとするお墓です。自然に還りたいという希望を持つ方に人気があります。費用は30万〜70万円程度が目安で、一般的な墓石よりリーズナブルです。
海洋散骨
遺骨を粉砕して海に撒く方法で、お墓自体が不要になります。費用は3万〜50万円程度と幅広く、委託散骨なら費用を抑えられます。ただし、遺骨が残らないため、家族の中に抵抗感がある方もいるかもしれません。
外部参考リンク:二世帯墓(両家墓)とは?メリット・デメリットと建てる際の注意点(お墓さがし)
外部参考リンク:両家墓とはどんなお墓?メリットや両家墓にする注意点も紹介(みんなが選んだ終活)
両家墓を検討する前にやるべきこと
家族会議を開く
両家墓の話を進める前に、まずは双方の家族全員で話し合いの場を設けましょう。お墓に対する考え方は人によって大きく異なります。特に高齢の親族にとっては「先祖代々のお墓を守りたい」という思いが強いことも多いため、丁寧に時間をかけて話し合うことが大切です。話し合いの前に、自分たちの希望やそれぞれのお墓の情報をエンディングノートに整理しておくと、説明がスムーズになります。
現在のお墓の状況を確認する
両家それぞれのお墓の契約内容や管理費の支払い状況を確認しておきましょう。寺院墓地の場合は檀家としての関係もあるため、住職に相談することも必要です。墓じまいの際に離檀料を求められるケースもありますが、法的な支払い義務はないとされています。
複数の霊園を見学する
両家墓に対応している霊園は増えていますが、対応状況は霊園ごとに異なります。実際に足を運んで、区画の広さやアクセス、管理体制を自分の目で確認するのがおすすめです。見学は無料で対応してくれるところがほとんどです。
よくある質問(Q&A)
Q. 両家墓は法律上問題ないのですか?
法律上の問題はありません。墓地埋葬法では、同じお墓に複数の遺骨を納めることに制限はないため、両家の遺骨を一つの墓に納めることは合法です。
Q. 両家の宗派が違う場合はどうすればいいですか?
宗教・宗派不問の霊園を選べば問題ありません。公営霊園は基本的に宗教不問で、民営霊園にも宗派を問わないところが増えています。
Q. 両家墓にした後、離婚した場合はどうなりますか?
離婚後のお墓の扱いについては法律上の明確なルールがありません。トラブルを避けるために、両家墓を建てる際に「万が一の場合の取り決め」を書面で残しておくとよいでしょう。
Q. 両家墓の納骨スペースは十分ですか?
両家墓は2つの家のお骨を一つに納めるため、通常の一家墓より広い納骨室が必要になります。一般的な墓石の納骨室には6〜8柱ほど収容できますが、両家分を考えると十分な広さのある区画を選ぶ必要があります。将来的に収容しきれなくなった場合は、古いお骨を合祀する方法もあります。石材店や霊園に相談してみてください。
Q. 両家墓の管理は誰がするのですか?
両家墓の管理者(祭祀承継者)は原則として1人です。一般的には両家墓を建てた夫婦のどちらか、あるいはその次の世代の1人が引き継ぎます。管理者が決まらない場合のルールを事前に両家で話し合っておくとよいでしょう。
外部参考リンク:両家墓にする際の注意点を教えて下さい(ライフドット)
まとめ
両家墓は、少子化時代のお墓の承継問題を解決する有力な選択肢です。管理の手間やコストを削減しつつ、両家のご先祖様を一つの場所で大切にできるのは大きなメリットでしょう。
ただし、親族の合意や霊園の規約確認、宗派の問題など、事前に検討すべきポイントは少なくありません。まずは家族や親族としっかり話し合い、必要に応じて石材店や霊園の担当者に相談してみてください。
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