「終活って気になるけど、何から始めればいいのかサッパリわからない」という方は非常に多いです。実際のところ、終活でやるべきことは多岐にわたるため、全体像を把握しないまま取り組むと途中で挫折してしまうケースが少なくありません。
さらに厄介なのが、終活には「正解」がなく、人それぞれ状況が違うということです。家族構成、財産の規模、健康状態、お墓の有無など、条件によって優先順位がまるで変わってきます。
この記事では、終活でやるべきことを優先度順にリストアップし、一つずつ丁寧に解説していきます。「何からやればいいかわからない」という方も、この記事を読み終える頃には自分に合った終活の進め方が見えてくるはずです。

【最優先】まず取り組むべき終活3つ
全部一度にやろうとすると挫折してしまいます。まずはこの3つだけに集中するのが成功のコツです。
1. エンディングノートを書き始める
エンディングノートは終活の第一歩であり、最も重要なアイテムです。自分の基本情報、家族への希望、財産の一覧、医療・介護の意思表示など、あらゆる情報をこの1冊に集約するのが目的になります。
完璧に書こうとしなくて大丈夫です。まずは名前と生年月日を書くところから始めればOK。イオンのお葬式では無料のエンディングノートを配布していることもあるので、まずは1冊手に入れてみてください。
書店や通販でも、項目があらかじめ用意された市販のエンディングノートが手に入ります。なお、エンディングノートには法的効力はありません。遺言としての効力が必要な場合は、形式を満たした遺言書を作成してください。
ノートを手に入れたら、書けるページから埋めていくスタイルで構いません。1ページ目から順番に書く必要はなく、基本情報のページなら5分もかからず書けます。この「小さな達成感」が次のページに進むモチベーションにつながっていきます。エンディングノートの書き方は以下の記事で項目別に詳しく解説しています。

2. 財産と負債を一覧にまとめる
銀行口座、保険、不動産、株式、ローンなど、自分の持っているものと借りているものをすべてリストアップしましょう。これがないと、万が一のときに家族が途方に暮れることになります。
実際に、亡くなった方の家族が「知らない口座が3つも出てきた」「どの保険会社に連絡すればいいかわからない」と困るケースは非常に多いです。特にネットバンキングや証券口座は通帳がないため、存在を知らなければ永遠に見つからない可能性もあります。
リスト化するときは、銀行名・支店名・口座番号・おおよその残高を書いておくと遺族の手続きがスムーズになります。暗証番号を書くかどうかは悩ましいところですが、書く場合はノートの保管場所を限定して信頼できる人だけに伝えるようにしてください。
3. 医療・延命治療の意思表示を書いておく
延命治療を望むか望まないか、臓器提供の意思はあるか。自分で判断できるうちに文書として残しておくことが非常に大切です。家族に口頭で伝えるだけだと、いざというときに判断に迷って家族間でもめる原因になりかねません。
厚生労働省が推進する「人生会議(ACP)」でも、もしものときの医療やケアについて事前に話し合っておくことの重要性が示されています。書面にしておくことで、医療従事者にも本人の意思を正確に伝えることができます。
【重要】できるだけ早めに取り組むべきこと
最優先項目が終わったら、次のステップに進みましょう。ここからは少し時間がかかる項目もありますが、早めに着手しておくほど選択肢が広がります。
4. 遺言書を作成する
「うちは財産が少ないから遺言書はいらない」と思っている方が多いですが、裁判所の統計によると、相続トラブルの3割以上は遺産総額1,000万円以下で起きています。金額の大小に関係なく、遺言書は作成しておくべきです。
自筆証書遺言なら費用はほとんどかかりませんし、2020年7月からは法務局での保管制度も始まっています。紛失や偽造のリスクを減らせるため、この制度の活用もおすすめです。
自分で書く場合は、用紙や封筒、記入例がセットになった遺言書キットを使うと準備しやすくなります。自筆証書遺言は形式の要件があるため、不安なときは専門家や法務局の保管制度も確認してください。
5. お墓について考える
先祖代々のお墓がある方はそこに入るのか、新しくお墓を建てるのか、それとも散骨や樹木葬にするのか。選択肢は年々増えています。自分の希望を明確にしておくことが大切で、家族と話し合っておくのも忘れないようにしましょう。
特に近年は樹木葬や納骨堂など、従来の墓石以外の選択肢が人気を集めています。費用面でも大きな差があるため、複数の霊園や墓地を見学して比較検討することをおすすめします。海洋散骨の費用と流れは以下の記事で詳しく紹介しています。



新しくお墓を建てる方向で考えているなら、石材店を一軒ずつ回る前に、複数社の見積もりを手元に置いて相場をつかんでおくと検討が進めやすくなります。墓石ナビは、運営事務局が選んだ石材店3〜5社から見積もりが届く一括見積もりサービスで、見積もりは無料、契約の義務もないと公式に案内されています。詳しい条件は公式サイトで確認できます。



6. 保険の見直しをする
加入している保険の内容を把握して、必要に応じて見直しましょう。特に受取人の確認は超重要です。離婚や再婚で受取人が変わっているのに更新していないケースは意外と多く、トラブルの原因になります。
7. デジタル遺品を整理する
スマホのパスワード、SNSのアカウント、サブスクの契約、ネットバンキングなど、デジタル資産は年々増えています。IDとパスワードの一覧を作って、信頼できる人にその存在を伝えておきましょう。
一覧は、項目が整理されたパスワード管理用のノートにまとめておくと、書き漏れや書き直しの手間を減らせます。
日本デジタル終活協会のサイトにデジタル遺品整理のヒントがまとまっているので、参考にしてみてください。使っていないサブスクの解約も合わせて行えば、毎月の節約にもつながります。


【できれば】時間をかけて取り組むこと
余裕があるときに少しずつ進めていけばOKな項目です。焦る必要はありませんが、元気なうちに着手しておくと後が楽になります。
8. 身の回りの整理・断捨離
使わなくなったものを処分していく「生前整理」は、一気にやる必要はありません。毎月1つの引き出しや棚を整理するくらいのペースで十分です。少しずつ進めて1〜2年かけてスッキリした部屋にしていくのが理想的な進め方です。
整理を始めると思った以上に処分するものが出てくるので、大容量のゴミ袋をまとめて用意しておくと作業が途中で止まりにくくなります。
特に衣類、書籍、食器類は量が多くなりがちです。「1年以上使っていないもの」を基準に仕分けしていくと、判断がつきやすくなります。断捨離すべきものの一覧は以下の記事で具体的にまとめています。



9. 葬儀の希望を決めておく
家族葬がいいのか、一般葬がいいのか、直葬でいいのか。費用の目安も含めて自分の希望を家族に伝えておくことで、遺族の精神的負担が大幅に減ります。葬儀社の事前見積もりは無料でできるところがほとんどなので、複数社を比較しておくのもおすすめです。
10. 友人・知人リストを作る
万が一のときに連絡すべき人のリストです。年賀状のリストを整理するついでに作ると効率的です。「この人には連絡してほしい」「この人には連絡不要」と分けておくと遺族が助かります。
連絡先は住所録ノートに1冊にまとめておくと、年賀状の整理と兼ねて毎年更新しやすくなります。
終活を続けるコツ
終活は一度に全部やるものではなく、少しずつ、定期的に見直すのが正しいやり方です。ここでは長く続けていくためのポイントをお伝えします。
年に一度の見直しを習慣にする
誕生日や正月など、決まった時期にエンディングノートを見直す習慣をつけましょう。家族構成や財産状況は変わるものですから、書きっぱなしはNGです。毎年同じ時期に見返して更新する習慣をつけるのが理想的です。
家族と一緒に取り組む
終活は一人で黙々とやるものではありません。家族と一緒に話し合いながら進めることで、お互いの意思が確認できますし、家族間のコミュニケーションにもなります。
厚生労働省でも「人生会議(ACP)」として、もしもの時について話し合うことを推進しています。難しく考えず、食卓での雑談から始めてみるのがおすすめです。
完璧を目指さないことが一番大事
終活で一番やってはいけないのが「完璧を目指すこと」です。100点のエンディングノートを作ろうとすると、いつまでも書き始められません。60点でもいいからとにかく書いてみて、後から修正していけばいいのです。


終活でやることは多いように見えますが、一つずつ片付けていけば必ず前に進めます。この記事のリストを参考に、今日できることから一歩ずつ始めてみてください。焦らず、自分のペースで取り組むことが、終活を成功させる最大のコツです。


