エンディングノートを書き始めたものの、「資産の欄ってどこまで書けばいいの?」「銀行口座の情報はどう記入すればいいの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
資産に関する情報は、残された家族がスムーズに手続きを進めるために欠かせない項目です。しかし、書きすぎると防犯上のリスクがあり、書かなすぎると意味がない――そのバランスが難しいところです。
この記事では、エンディングノートの資産欄に書くべき内容と、安全に記録するためのポイントを具体的な記入例とともに解説します。

エンディングノートに資産情報を書く重要性
家族が亡くなった後、遺族はさまざまな手続きを行う必要があります。銀行口座の解約、保険金の請求、不動産の名義変更、証券口座の移管など、手続きは多岐にわたります。
しかし、故人がどの金融機関に口座を持っていたのか分からないというケースは珍しくありません。全国には1,000以上の金融機関があり、心当たりのある金融機関に一つひとつ問い合わせる作業は、遺族にとって大きな負担になります。
エンディングノートに資産情報をまとめておけば、遺族の負担を大幅に軽減できます。法的な効力はありませんが、情報の「道しるべ」としての価値は計り知れません。
エンディングノートは遺言書とは異なり法的な拘束力がないため、気軽に書き直せます。完璧を目指さず、まずは書き始めることが大切です。
まだ手元にノートがない方は、資産の記入欄があらかじめ用意された市販のエンディングノートを使うと、書き漏れを防ぎやすくなります。
銀行口座の書き方と記入例
銀行口座は、遺族が最初に確認したい情報の一つです。以下の項目を記録しましょう。
記載すべき項目
- 金融機関名(銀行名・信用金庫名など)
- 支店名
- 口座の種類(普通預金・定期預金など)
- 口座番号
- 口座の用途(給与振込・光熱費引落とし・貯蓄用など)
- 通帳やキャッシュカードの保管場所
- ネットバンキングの有無
記入例
【口座1】○○銀行 △△支店 / 普通預金 / 口座番号:1234567 / 用途:年金受取・光熱費引落とし / 通帳の保管場所:寝室のクローゼット上段の金庫内
【口座2】△△信用金庫 □□支店 / 定期預金 / 口座番号:7654321 / 用途:貯蓄用 / 通帳の保管場所:リビングの書棚2段目
暗証番号やパスワードは、エンディングノートには書かないでください。ノートを紛失した場合に不正利用されるリスクがあります。暗証番号は別の安全な場所に保管するか、信頼できる家族だけに口頭で伝えておきましょう。

保険・年金の書き方と記入例
生命保険や医療保険は、請求しなければ保険金が支払われません。遺族が保険の存在を知らなかったために、請求漏れが発生するケースは意外と多いのが実情です。
記載すべき項目
- 保険会社名
- 保険の種類(生命保険・医療保険・火災保険など)
- 証券番号
- 保険金の受取人
- 担当者や代理店の連絡先
- 保険証書の保管場所
保険証書や年金の通知書は、書類ファイルに1つにまとめておくと、ノートに「保管場所:◯◯のファイル」と一言書くだけで済みます。
記入例
【保険1】○○生命 / 終身保険 / 証券番号:A1234567 / 受取人:配偶者 / 担当:△△代理店(電話:03-XXXX-XXXX) / 証書の保管場所:リビングのファイルボックス
年金についても、受給中の年金の種類や年金番号を記載しておくと、遺族が年金事務所での手続きをスムーズに行えます。
不動産・有価証券の書き方
不動産
自宅やその他の不動産を所有している場合は、以下を記載します。
- 物件の種類(自宅・賃貸用マンション・土地など)
- 所在地
- 登記済権利証(登記識別情報)の保管場所
- 住宅ローンの有無(残債がある場合は借入先も記載)
- 固定資産税の納付方法
有価証券・投資信託
- 証券会社名
- 口座番号
- 保有銘柄(大まかでOK)
- ネット証券の場合はログイン情報の保管場所
有価証券の金額や数量は日々変動するため、具体的な金額を書く必要はありません。「どこに口座があるか」が分かれば十分です。
借入金・ローンの書き方
プラスの資産だけでなく、マイナスの資産(負債)も漏れなく記載することが重要です。負債の存在を知らなかった遺族が、相続放棄の期限を過ぎてしまうこともあります。
- 借入先(金融機関名・カードローン会社名など)
- 借入残高の目安
- 返済方法(口座引落とし・振込など)
- 保証人の有無

デジタル資産の書き方
記事執筆時点では、ネット銀行や暗号資産、各種サブスクリプションサービスなど、デジタル上の資産や契約が増えています。これらは紙の通帳が届かないため、本人以外には存在を把握しにくいのが特徴です。
記載すべきデジタル資産
- ネット銀行の口座情報
- 暗号資産(取引所名・保管方法)
- 電子マネーやポイント(残高が大きいもの)
- 有料サブスクリプション(解約が必要なもの)
- SNSアカウント(削除の希望)
IDやパスワード自体をエンディングノートに書くのはリスクがあるため、「パスワード管理アプリに保存している」「○○のファイルにまとめている」といった保管場所の情報だけを記載する方法がおすすめです。
安全に保管するためのポイント
資産情報が書かれたエンディングノートは、個人情報の塊です。紛失や盗難のリスクに備えた保管方法を考えておきましょう。
保管場所のおすすめ
- 自宅の金庫(耐火金庫が望ましい)
- 銀行の貸金庫
- 信頼できる家族に預ける
自宅で保管するなら、ノートと通帳・権利証などをまとめて耐火金庫に入れておく方法があります。耐火性能は製品ごとに異なるので、仕様を確認して選んでください。
保管のコツ
- ノートの存在と保管場所は、信頼できる家族に伝えておく
- 資産情報のページだけ取り外せるタイプのノートを使う
- 定期的に(年に1回程度)内容を更新する
外部参考リンク:エンディングノート(終活ノート)の作り方とは?(くらしの友)
外部参考リンク:エンディングノートとは?書き方や法的効力をプロが解説(税理士法人チェスター)
おすすめのエンディングノートの選び方
市販のエンディングノート
書店や文房具店で販売されているエンディングノートは、記入欄が整理されていて書きやすいのが特長です。資産の記入欄が充実しているタイプ、医療・介護の希望を詳しく書けるタイプなど、種類もさまざまです。実際に手に取って、自分が書きやすいと感じるものを選びましょう。
自治体や金融機関の無料配布版
自治体の終活セミナーで無料配布されているエンディングノートもあります。また、一部の金融機関や葬儀社が窓口で配布しているケースもあるため、まずは無料のものから始めてみるのも手です。
デジタルツールの活用
記事執筆時点では、スマートフォンのアプリやクラウドサービスでエンディングノートを作成できるツールも登場しています。更新が手軽にできるのがメリットですが、ログイン情報を家族に伝えておかないと、いざというとき閲覧できないリスクがあります。紙のノートとの併用がおすすめです。
よくある質問(Q&A)
Q. エンディングノートに書いた内容は法的に有効ですか?
エンディングノートには法的な拘束力はありません。財産の分配方法を法的に有効にするには、別途遺言書を作成する必要があります。ただし、資産の情報をまとめておくことで、遺言の作成や相続手続きがスムーズになるという実務的なメリットは大きいです。
Q. どのくらい詳しく金額を書けばいいですか?
口座残高や資産の具体的な金額は、変動するため書く必要はありません。「どの金融機関に口座があるか」「保険証書はどこに保管しているか」という情報があれば、遺族が手続きを進められます。
Q. ネット銀行のIDやパスワードはどう管理すればいいですか?
エンディングノートに直接書くのは防犯上おすすめしません。パスワード管理アプリを使い、その利用方法だけをノートに書いておくか、暗号化されたUSBメモリに保存しておく方法が安全です。
Q. 書き終わったらどうすればいいですか?
ノートの存在と保管場所を信頼できる家族に伝えてください。また、年に1回は内容を見直して、口座の追加・解約や保険の変更があれば更新することが大切です。
Q. エンディングノートに相続の希望を書いても法的に有効ですか?
エンディングノートに「長男に家を譲る」と書いても法的な効力はありません。財産の分配方法を法的に有効にするには、遺言書(自筆証書遺言または公正証書遺言)を別途作成する必要があります。エンディングノートは「情報の整理」、遺言書は「法的な意思表示」と、役割を分けて考えましょう。
Q. クレジットカード情報も書いておくべきですか?
クレジットカードの枚数と発行会社名は記載しておくとよいでしょう。遺族がカードの解約手続きをスムーズに行えます。ただし、カード番号やセキュリティコードは書かないでください。不正利用のリスクがあります。
外部参考リンク:エンディングノートの書き方|書くべき項目や内容、注意点(税理士法人レガシィ)
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まとめ
エンディングノートの資産欄は、残された家族への大切な「引き継ぎ書」です。銀行口座、保険、不動産、デジタル資産まで、自分の財産に関する情報を一元化しておくことで、遺族の負担を大幅に軽減できます。
暗証番号やパスワードは別途安全な方法で管理し、ノートには「何がどこにあるか」の情報を中心に記載しましょう。書き始めるタイミングに「早すぎる」ということはありません。今日から少しずつ、できるところから始めてみてください。




