「相続に関する資格を取りたい」と考えている方にとって、「相続診断士」は実務に近い知識を効率よく学べる人気の資格です。相続は税金・不動産・保険・法律が絡む複雑な分野ですが、相続診断士は専門家と一般の方の「橋渡し役」として活躍できます。
この記事では、相続診断士の資格概要、取得方法、試験の内容と費用、そして資格を取った後にどう仕事に活かせるかまで、一通り解説していきます。

相続診断士とは
相続診断士は、一般社団法人相続診断協会が認定する民間資格です。相続がスムーズに進むようにサポートし、トラブルが発生しそうな場合は事前に税理士・司法書士・行政書士・弁護士などの専門家と連携して問題の早期解決を目指す役割を担います。
国家資格ではないため、法的な手続きを直接行う権限はありませんが、「相続の最初の相談窓口」として多くの業界で活用されている資格です。
受験を決める前に相続の全体像をざっくりつかんでおきたい方は、図解の多い相続の入門書に目を通しておくと、講義の内容がぐっと頭に入りやすくなります。
相続診断士と上級相続診断士
資格には2つの段階があります。
| 資格 | 受験料 | 試験時間 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 相続診断士 | 初回38,500円(再受験16,500円) | 60分 | 70点以上 |
| 上級相続診断士 | 初回88,000円(再受験16,500円) | 90分 | 70点以上 |
受験料にはテキスト・WEB講義動画・受験料・資格認定料が含まれています。
相続診断士の試験内容
出題形式
試験はCBT方式(コンピュータで行う全国会場型試験)で実施されます。出題形式は○×問題・三肢択一・穴埋め方式です。
出題範囲
主な出題範囲は以下の通りです。
- 相続の基礎知識(法定相続人、法定相続分、遺留分など)
- 遺言書の種類と効力
- 相続税の計算方法と基礎控除
- 生命保険と相続の関係
- 不動産と相続(小規模宅地等の特例など)
- 事業承継の基礎
- 相続発生時の手続きの流れ
合格率と難易度
相続診断士の合格率は約90%以上と高く、テキストとWEB講義動画をしっかり学習すれば十分合格できるレベルです。出題は講義で解説された内容から出題されるため、独学で過去問を解くというよりは、講義を丁寧に理解することが合格への近道です。
- 受験資格の制限なし。誰でも受験できる
- 全国のテストセンターで随時受験可能(日時・会場を自分で選べる)
- 合格率は約90%以上で、しっかり学習すれば合格しやすい
資格取得までの流れ
相続診断士の取得は以下のステップで進みます。
- 申し込み:J-TestingまたはCBT-Solutionsの公式サイトから受験申し込み
- 教材で学習:テキストとWEB講義動画で学習する(学習期間の目安は2週間〜1ヶ月)
- 受験:全国のテストセンターでCBT試験を受ける
- 合否結果:試験終了後にその場で結果が分かる
- 資格認定:合格後、認定証が届く
学習のポイント
合格するためのコツは、WEB講義動画を最低2回は通して視聴することです。1回目は全体像を掴むために流し聞きし、2回目はテキストと照らし合わせながらしっかり理解を深めます。特に相続税の計算方法や法定相続分の配分は、数字が出てくるため反復練習が効果的です。
また、相続に関するニュースや判例に日頃から目を通しておくと、知識が実務に紐づいて定着しやすくなります。相続診断協会が発行するメールマガジンや、税理士事務所が運営するコラムサイトなどが参考になります。
受験日の選び方
CBT方式のため、自分の都合に合わせて受験日を選べるのが大きなメリットです。学習が完了したらすぐに受験できるので、モチベーションが下がる前に受験するのがおすすめです。テストセンターは全国各地にあり、自宅や職場から通いやすい会場を選べます。

相続診断士を活かせる業界と仕事
相続診断士の資格は、相続に関わるさまざまな業界で活用されています。資格を持っていることで、お客様への提案力が上がり、他の担当者との差別化にもつながります。
生命保険業界
生命保険の営業担当者にとって、相続診断士の知識は大きな強みになります。保険金の受取人設定や非課税枠の活用など、相続と保険は切り離せない関係にあるためです。お客様に対して保険以外の切り口からもアドバイスできるようになり、信頼関係の構築に役立ちます。生命保険の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」であり、この知識を使った提案は多くのお客様から喜ばれます。
不動産業界
相続財産の中で不動産が占める割合は約4割ともいわれています。不動産の売却、活用、分割に関する相談の際に相続の知識があると、お客様への提案の質が大きく向上します。特に空き家問題や実家の処分に悩む方への対応力が高まります。
金融業界
銀行・証券会社・信用金庫などの金融機関でも、相続に関する相談は増加傾向にあります。相続診断士の資格を持っていると、資産運用だけでなく相続対策の提案もできるようになります。預金の名義変更や口座凍結の手続きなど、窓口業務の現場でも知識が活きます。
士業のダブルライセンス
税理士・行政書士・社会保険労務士などの士業が、業務の幅を広げるために相続診断士を取得するケースもあります。相続の全体像を把握したうえで、自分の専門分野の業務に取り組めるようになります。「相続のワンストップ相談」を掲げる事務所では、相続診断士の資格が必須とされているケースもあります。
FP(ファイナンシャルプランナー)との相乗効果
FP資格と相続診断士は学習範囲が一部重なるため、ダブル取得がしやすい組み合わせです。ライフプラン全体の中で相続を位置づけた提案ができるようになるため、顧客満足度の向上に直結します。FPのダブル取得に興味がある方は、まずFP3級のテキストで学習範囲を確かめてみるのも一つの方法です。
相続診断士の資格を維持するために
相続診断士の資格有効期間は2年間です。2年ごとに更新試験を受ける必要があり、更新料は16,500円です。法改正や制度変更への対応力を維持するための仕組みとなっています。
更新を怠ると資格が失効します。相続に関する法律は改正が頻繁にあるため、更新の機会を活用して最新の知識にアップデートしておきましょう。
相続診断士が知っておくべき相続の基本数字
相続診断士として活動する際に、押さえておきたい基本的な数字を紹介します。
基礎控除額
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。例えば、配偶者と子ども2人の場合は4,800万円が基礎控除額となり、遺産総額がこれを下回れば相続税はかかりません。
相続税の申告期限
相続税の申告と納税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると延滞税や加算税がかかる可能性があるため、早めの準備が重要です。
遺産分割事件の実態
家庭裁判所における遺産分割事件のうち、遺産総額5,000万円以下のケースが約75%を占めています。「相続税がかからない家庭」でもトラブルは起きるということを、相続診断士は相談者にしっかり伝えることが大切です。
配偶者の税額軽減
配偶者が相続する場合、法定相続分以内もしくは1億6,000万円以下であれば相続税がかかりません。この「配偶者の税額軽減」は大きな節税効果がありますが、二次相続(配偶者が亡くなったときの相続)まで見据えた対策が必要です。相続診断士はこうした長期的な視点でのアドバイスも求められます。

相続や終活のご相談では、財産の整理とあわせて、お墓の準備も並行して進めたいという方もいます。新しくお墓を建てる場合や建て替える場合は、墓石ナビで複数の石材店の見積もりを比べる方法もあります。見積もりは無料で契約の義務はなく、民営霊園は対象外とされています。詳しくは公式サイトで確認できます。

よくある質問(Q&A)
Q. 相続診断士の資格だけで相続の手続きはできますか?
いいえ、相続診断士は法的手続き(遺言書の作成代理、相続登記、税務申告など)を行う資格ではありません。あくまで相談者の状況を整理し、適切な専門家(弁護士・税理士・司法書士など)につなぐ「コーディネーター」としての役割です。
Q. 独学でも合格できますか?
受験料にテキストとWEB講義動画が含まれているため、基本的にはこの教材だけで十分です。市販の参考書は特に必要ありません。講義動画を2〜3回繰り返し視聴し、テキストの重要ポイントを押さえれば合格は十分に狙えます。
Q. 上級相続診断士との違いは何ですか?
上級相続診断士は、より実践的で深い知識が求められます。試験時間も60分から90分に延び、出題範囲も広がります。受験料は初回88,000円と高めですが、その分、専門性の高い知識を証明できます。
Q. 相続診断士の需要は今後増えますか?
日本は超高齢社会に突入しており、今後相続が発生するケースは増加し続ける見込みです。「争族(あらそうぞく)」を防ぎたいというニーズは高まっているため、相続診断士への需要は今後も拡大していくと考えられます。


まとめ
相続診断士は、相続に関する幅広い知識を学び、相談者と専門家をつなぐコーディネーターとしての資格です。受験料38,500円(テキスト・講義動画込み)で、全国のテストセンターで随時受験でき、合格率も約90%以上と取得のハードルは高くありません。
保険・不動産・金融業界での活用はもちろん、FPや士業とのダブルライセンスとしても価値があります。相続に関心がある方は、まず相続診断協会の公式サイトで受験の詳細を確認してみてください。
参考リンク:J-Testing|相続診断士資格試験、資格ルート|相続診断士資格試験とは、相続税のPrime|相続診断士とはどんな資格?


